《第5章》 いろいろな不安や疑問にお答えします

1.抗がん剤やホルモン治療中、または放射線照射後でも
「乳房再建手術」は受けられますか?

抗がん剤治療中は白血球が減少し、傷が治りにくく感染症のリスクが高まります。抗がん剤の副作用のあらわれ方も人によって違いがあるので、まずは乳がん治療を優先することが賢明です。ホルモン治療中(通常5~10年間)の乳房再建は可能ですが、ホルモンの影響で体形や胸の大きさが変わりやすく、治療後に左右バランスを整える手術を行うことがあります。放射線の照射は皮膚や皮下脂肪を硬くし、組織の血行を悪くして傷の治りが遅くなることがあるため、ティッシュ・エキスパンダーを入れる際にはより合併症に注意する必要があります。放射線照射による再建手術への影響は、終了後1年以上経過すれば小さくなります。

2.いわゆる“トリプルネガティブ”でも
「乳房再建手術」は受けられますか?

乳がんの発生と増殖に関するHER2、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体という3つの因子と無関係に発生する“トリプルネガティブ”というタイプの乳がんは、これらの因子に対応するハーセプチンという薬やホルモン剤が効かず、手術後の予後が悪く再発リスクが高いとされています。しかしこうした方が「乳房再建手術」を⾏うことが、乳がんの再発に悪影響を及ぼすという報告はなく、がん細胞の存在が認められないのであれば、再建に問題はないと考えてよいでしょう。

3.喫煙者は「乳房再建手術」が受けられないというのは
 ほんとうですか?

傷あとがきれいに治るのは末梢血管によって運ばれる酸素や栄養素の働きによるものです。ニコチンには末梢血管を縮小させ血行を悪くする作用があり、一般に喫煙者は手術の傷が治りにくくなります。傷の治りが遅いと感染症を起こす危険性も高まります。乳頭乳輪の形成手術でも、喫煙者は乳頭の先端まで血液がめぐりにくく、形成した乳頭が壊死して取れてしまうこともあり、喫煙習慣のある方はハイリスクとなります。

4.何十年も前に乳房の全摘手術を受けていても
「乳房再建手術」は受けられますか?

乳がん手術から何年経過していても「乳房再建手術」を行うことは可能です。高齢でも、他に大きな病気がなく、全身麻酔がかけられる健康状態であれば基本的に問題はなく、乳房再建への前向きな気持ちがあれば、手術を受ける年齢にリミットはありません。ただし高齢者の乳房は下垂や萎縮していることが多く、インプラントではそうした形の乳房の再現は難しくなります。1970年代以前に行われていた、皮膚や筋肉を広範囲に切除する手術を受けている方も、自家組織を使う再建のほうが適しています。

5.乳がん治療や「乳房再建手術」を受けたあと、
 妊娠・出産はできますか?

将来的に妊娠・出産を考えている方が「乳房再建手術」を受けることに何ら問題はありませんが、腹部の自家組織を使う手術は適しません。広背筋皮弁やインプラントによる手術であれば妊娠には影響しません。乳がん手術後に抗がん剤治療を行う場合は、白血球数が正常に戻るまで待って再建します。ホルモン治療のみの場合は手術後6カ月、放射線治療を行った場合は終了後1年以上の期間をおくことが一般的です。

6.乳がん治療中に再発や転移がわかった場合
「乳房再建手術」は受けられますか?

「乳房再建手術」の際に全身麻酔をかけると、どうしてもある程度の免疫力の低下を招きます。抗がん剤治療中は免疫力を下げないほうがよいので、こうした場合は再建を先送りにすべきと思われます。ただし比較的短時間で終わるインプラントによる手術であれば、乳腺外科医が許可する可能性もあります。万一、術後に合併症が起きたときには乳がん治療にも影響があります。乳がん治療に専念することが基本ですが、どうしても再建を希望される場合は必ず乳腺外科医と形成外科医が緊密な連携をとれる態勢の整った医療施設で医師とよく話したうえで、再建手術を受けるようにしてください。

もっと詳しいことをお知りになりたいときは…

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