「乳房再建手術」Q&A

乳房の全摘出後すぐにティッシュエキスパンダーを挿入する前提で手術が行われている途中で、エキスパンダーの挿入が中止される場合があると聞きました。どういう理由によるものなのでしょうか。

◆以前に勤務していた「がん研有明病院」の考え方に則って説明します。同病院の方針では、乳房全摘出と同時にティッシュエキスパンダーの挿入を行うのは、乳がんのステージが比較的低い非浸潤がん、もしくは浸潤がんでもステージ2Aまでで、センチネルリンパ節(※)へのがん細胞の転移が1個までのものを対象としています。ご質問の事例が同病院の患者さんについてであれば、手術中に行ったセンチネルリンパ節生検で転移が2個以上見つかったため、エキスパンダー挿入が中止されたものと考えられます。

同病院がこのように判断するのは、最終的な永久病理標本の結果からも、「センチネルリンパ節への転移が1個までであれば、リンパ節転移が4個を超えることはほとんどない」という根拠があるからです。したがってその場合は予定通りティッシュエキスパンダーの挿入を行います。種々の状況よっては化学療法(抗がん剤治療)を併用することはあり得ますが、放射線照射まで必要になるケースは経験的にもほとんどありません。

もしセンチネルリンパ節生検で転移が1個でも見つかれば、ティッシュエキスパンダーの挿入は中止するという基準を作ってしまうと、相当数の患者さんが一次再建の機会を失ってしまうことになります。そこで病院独自の判断として、病理標本の結果やこれまでのデータなどを踏まえた総合的な見地から、このような方針をとっているわけです。もし2個以上見つかった場合は、乳房再建手術は先延ばしにして、いましばらくがん治療に専念していただくことになります。(矢島医師)

※センチネルリンパ節:乳がんは、乳腺内のリンパの流れに乗って脇の下のリンパ節にまず転移します。最初にリンパが入り込むリンパ節をセンチネル(見張り役という意味)リンパ節と呼び、ここにがん細胞の転移がなければ、それより先への転移はないと判断することができます。そこで最近は、乳がん手術中にセンチネルリンパ節を特定して切り取り、組織への転移の有無を調べる方法がとられるようになりました。これをセンチネルリンパ節生検といいます。従来の脇の下のリンパ節全体を切除(郭清)する方法では、上腕のむくみや神経の障害などの合併症を伴いがちでしたが、センチネルリンパ節生検の普及によって患者さんのQOLは大きく向上しつつあります。

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2014.08.06.

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