役立ち情報

1.画像診断で、自分の“乳腺濃度”をぜひ知りましょう

乳がんの早期発見に有効な『画像診断』
乳腺のタイプに合った検診方法を知ってください

マンモグラフィは、「石灰化」を見つけるのが得意

日本人では40歳を過ぎると乳がんにかかる人が増えはじめ、40代後半が罹患のピーク年齢となります。このため日本では、厚生労働省が策定した乳がん検診のガイドラインにもとづいて、40歳以上の女性に、原則としてマンモグラフィによる検診を2年に1度受けるよう提言しています。

マンモグラフィは、乳房内の「石灰化」の発見に適した検査です。「石灰化」とは、乳管などに沈着したカルシウムの小さな固まりのことで、それ自体はがんではありません。しかし、まれにがんに起因する「石灰化」が生じることがあるので、マンモグラフィ検査で「石灰化」を見つけることは、乳がんの早期発見にもつながります。

マンモグラフィでは乳がんが見つかりにくいタイプの人がいます

ただ、同じようにマンモグラフィで検査しても、「腫瘤=しこり」が見つかりやすい人とそうでない人がいるのをご存知でしょうか。この見つけやすさを左右するのが、「乳腺濃度(または乳腺密度)」というものです。

乳房の内部は、主に脂肪と乳腺組織からできていて、乳腺組織が多く存在している状態を「乳腺濃度が高い」といいます。下の画像をご覧ください(画像提供:NPO法人 乳がん画像診断ネットワーク)。

P8下 乳腺濃度4段階

左端の画像は脂肪の割合が高い、つまり「乳腺濃度」の低い人で、全体に黒っぽく写っているのに対し、右端の「乳腺濃度」の高い人の画像はほとんど真っ白です。マンモグラフィでは、乳腺組織や腫瘤(しこり)は白く写るため「乳腺濃度」の高い人ほど腫瘤を見つけにくくなるのです。

ちなみに「乳腺濃度」が高い乳房のことを、英語で「デンスブレスト(dense breast)」といいます。アメリカでは、進行性乳がんをマンモグラフィで発見できなかった1人の女性の活動がもとになり、「乳腺濃度」に関する情報を本人に提供するよう医療機関に義務づける法律の制定が各州で進みつつあるほど、「乳腺濃度」を知ることの重要性が認識されています。

「乳腺濃度」はマンモグラフィで知ることができます

一般に「乳腺濃度」は若年者ほど高く、20~30代の方の乳がん検診では、マンモグラフィよりも超音波検査のほうが適しています。しかし、日本人は欧米人より「乳腺濃度」の高い人の比率が高く、高齢でも「乳腺濃度」が高いままの人が少なくないので、いちがいに“40歳を過ぎればマンモグラフィがよい”と言い切ることはできません。

だからこそ乳がん検診に際しては、自分の「乳腺濃度」を知ることがとても重要です。
40歳ごろからは、職場や自治体などの乳がん検診を受ける機会が増えますから、まず一度はマンモグラフィによる検査を受け、石灰化の有無を調べると同時に、可能であれば自分の「乳腺濃度」が高いか低いかを尋ねてみましょう。「乳腺濃度」が低いとわかった人は、引き続き1~2年に一度のマンモグラフィ検診を受ければよく、逆に乳腺濃度が高い人は、以後はできるだけ超音波による検診に切り替えることをお勧めします。
☆さらに詳しい情報は、NPO法人乳がん画像診断ネットワークのサイトをご参照ください。

遺伝性乳がんのリスクが心配な方はまずカウンセリングを

女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳房の予防的切除手術を受けたことで、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」のことが知られるようになりました。日本人では乳がんと診断されたうち遺伝性が疑われる人は5~10%ほどです。しかし、「近親者にがん患者が多い」「母親が若くして乳がんになった」などの理由で、遺伝性乳がんを心配する若い人もおられることでしょう。

20~30代の若い方の乳がん検診は、微量とはいえマンモグラフィ検査によるX線照射リスクを避ける意味でも、超音波による検査がお勧めです。また、遺伝性乳がんの発症リスクについて知るため、遺伝子検査を受けるべきかどうかを迷っている方は、その前に医療機関で「遺伝カウンセリング」というものを受けることができます。

ご本人や家族の病歴などに照らし、遺伝子検査を受けたほうがよいか、陽性だったらどうすればいいかなど、適切なアドバイスを受けられます。(全国の遺伝カウンセリング・検査実施機関
【参考資料:『乳がん 検診と診断 知っておきたいこと』 NPO法人乳がん画像診断ネットワーク監修】

画像診断で「再検査」といわれたら、どうすればよいでしょう

さがらブレストピアヘルスケアグループ 乳腺科部長(画像診断)
相良病院付属ブレストセンター 放射線科部長
(前・医療法人鉄蕪会・亀田京橋クリニック 診療部部長・画像センター長)
戸﨑光宏

私が患者さんと接するときは、まずご本人のマンモグラフィの画像をお見せして、その人に最も向いた検査方法についてお話をします。そのとき、「乳腺濃度が高いのに、何年もマンモグラフィの検診を受けていた」と初めて知る方が大勢いらっしゃいます。

集団検診の宿命でもあるのですが、マンモグラフィ検査で「再検査が必要」といわれた人の95%近くは乳がんではありません。だからといって放置していてよいわけではなく、もし「再検査」といわれたときは、まずは超音波やMRIなどの検査機器を整えた身近な病院やクリニックを訪ねてみましょう。そこできちんと精密査を受け、本当に疑わしいという話になったときに、初めてがん治療専門の大病院を受診するなどの方法を考えればよいのです。

乳がんの検診や診断に関するこうした情報は、実は意外なほど交通整理がなされていません。誰もが自分に合った画像診断方法を知り、「要再検査」といわれた人が、すぐにも迷わず訪ねられる外来システム(振り分け外来と呼んでいます)を作ることは、いまの日本の乳がん検診・診断におけるもっとも重要な課題です。

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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