乳房再建手術最前線リスト
乳房再建手術経験者の声

「「乳房再建」はすべての乳がん患者さんに示される選択肢だと思います」

大阪府 STさん(60歳)
STさん
手術方式 : 「一次二期再建」
        (乳がん手術時にエキスパンダーを挿入し8カ月後にインプラントで再建)
 ・乳がん手術 : 2014年5月 右乳房皮下乳腺全摘
   執刀・大阪市立総合医療センター 乳腺外科 小川佳成医師
 ・乳房再建手術 : 2014年5月 乳がん手術と同時にティッシュエキスパンダーを挿入
           2015年1月 インプラントへの入れ替え
   執刀・大阪市立総合医療センター 形成外科 山口憲昭医師
術前治療 : なし
術後治療 : 抗がん剤(FEC)3カ月、ハーセプチン投与継続中

「乳房にはかわいそうだけれど、がんはいらない」

乳がんを確信したのは2014年の春。着替えをしようとふと身をかがめたとき、右乳房の下に素人にもはっきりとわかるしこりがありました。前年の秋、一般検診のマンモグラフィ検査で「要検査」といわれており、すぐに乳がん専門クリニックで検査を受けた結果は「所見なし」。念のためにと、半年後に予約した再検査を待っていたときのことでした。

翌日ただちに同じクリニックを訪ねると、即座に針生検を受けることとなり、1週間後に乳がんと告知を受けました。「充実腺管がん、浸潤がん、ホルモン非対応、ステージはいくつ・・・」など聞いたことのない言葉が並び、頭も混乱するばかりでしたが、医師からは「まず半年間抗癌剤を投与して、その経過に応じた温存手術をしましょう」という治療方針が示されました。

がんの種類や治療方法にこんなに種類があるとは思いもよりませんでしたが、「乳房にはかわいそうだけれど、がんはいらない!」という思いがあった私は、提示された“抗がん剤治療後の温存手術”という方法ではなく、すぐにも全摘手術を・・・と考えていました。そこでかかりつけの医師に報告を兼ねて相談したところ、紹介されたのが大阪市立総合医療センター乳腺外科部長の小川医師でした。

再建にさまざまな時期や方法があることを教えてくれた冊子との出会い

小川医師には「全身状態に問題がなければ全摘手術も可能」とおっしゃっていただき、検査の結果、問題なしとのことで、セカンドオピニオンを受けたような形で市立総合医療センターでの手術を決意。その際、読んでおくようにと手渡された患者向けの冊子に、半ページほどではありましたが「乳房再建手術」についての説明が書かれていたのです。

いま思えば、それが乳房再建への扉を開くきっかけでもありました。そういう手術があることはぼんやりと知ってはいましたが、手術の時期や方法がいろいろあり、ライフスタイルなどに応じて組み合わせを選べることなど初めて知ることも多く、「すぐに手術ができる」「身体のほかの部分に傷が残らない」という希望を勘案すると、自分にはインプラントによる一次再建が適しているようだということもわかりました。

迷うことなく再建すると決め、乳腺外科と連携して再建手術を担当される形成外科の山口医師(現在は海外赴任中)からも懇切丁寧な説明をいただきました。実はもっと簡単な手術だと勝手に想像していたので、かなりの時間とプロセスを踏むことには驚きもありましたが、先生の自信と熱意にあふれた言葉に接するにつれ、すべて信頼してお任せすればいいんだという気持ちになっていきました。

一人でも多くの乳がん患者さんが再建手術にたどりつかれますように・・・

エキスパンダーを入れている間は、異物感のほかに、脇から背中にかけて常にしびれがあったのですが、手術後の胸が次第にきれいになっていくのに伴って、「体が新しいものを受け入れるために頑張っているんですよ」という山口医師の説明もすんなり納得できるようになりました。8カ月後にインプラントへの入れ替えを終えてからは、嘘のようにしびれもなくなり、きれいに再建していただいた胸を眺めるたびに、頑張った甲斐があったと心底感じています。

抗がん剤の投与がありましたので、仕事や趣味もしばらく休止していたのですが、まずはジム通いを再開して甘やかしていた体を作り直すつもりです。週末のゴルフや温泉も、夫婦でこれから存分に楽しみたいと思っています。正直なところ、乳がんになったことには、いまなお受け入れがたい思いはあります。でもがん告知を受けてから、何かにたぐり寄せられるように、自分にとって望ましい形で乳房再建手術を受ける機会とめぐり会えたのは本当に幸運なことでした。

しかしこれだけ情報がある時代でも、再建手術にスムーズにたどりつけていない方は大勢いらっしゃいます。山口医師はよく「QOL(生活の質)を上げるための手術」という言葉を使われるのですが、患者さんの将来を見据えれば、乳がん告知に際して「乳房再建」は選択肢として必ず示されるべきものだと思います。一経験者として、乳腺外科医と形成外科医の連携がこれからもっと幅広く進むことを心から願っています。
(取材2015年4月)

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2015.05.15.

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