乳房再建手術最前線リスト
乳房再建医の声

「経験ある医師による説明と納得のもとで再建に臨むことが重要」矢野健二医師

矢野 健二(やのけんじ) 大阪大学医学部附属病院 形成外科

術式 : ・自家組織/広背筋皮弁、穿通枝皮弁
    ・シリコンインプラント
    ・乳房縮小術に準じた乳房再建(温存再建)  
連携病院  森之宮病院(大阪市城東区・月1回)、松下記念病院(守口市・不定期)
標準手術時間 : ・広背筋皮弁 2時間半、穿通枝皮弁 6時間
         ・エキスパンダー/インプラント挿入 各1時間
         ・乳房縮小に準じた再建 乳房温存手術+1時間
標準入院日数 :・自家組織 約2週間
        ・エキスパンダー挿入(一次再建) 約2週間、インプラント入れ替え 5日間  
        ・乳房縮小に準じた再建 約1週間
乳頭・乳輪形成 : 実施は再建手術の3カ月後以降が目安
       ※再建乳房の局所の皮膚の立ち上げ+タトゥーによる着色、健側からの移植など

 温存手術後の整容性に配慮した一次再建も手がけています

20年ほど前、国立呉病院に勤務していたときに、乳腺外科医の要望に応じて手術を行うようになったのが乳房再建と関わりはじめた最初です。そのうちに症例経験も増え、いつのまにか乳房再建が私の専門領域のようになっていきました。国公立病院では、おそらくもっとも古くから乳房再建を手がけてきた一人だと思います。大阪大学に戻ってからも、乳腺外科との連携による症例が増え、いまでは経験豊かな中堅の医師も育つまでになりました。

当病院では、ほとんどの術式による乳房再建手術を行っていますが、どちらかといえば乳がん手術と同時に再建まで行う一次再建手術のほうが多く、乳腺外科医との連携がとれることから、乳房縮小術に準じた再建も手がけています。これは整容性の観点を重んじた乳房温存術のひとつで、胸の形を小さめに整えることを前提に乳がん手術の切開位置を決め、乳腺外科医が腫瘍を切除した後に、形成外科医が乳房縮小と乳房再建を行うものです。乳房が大きい、あるいは下垂している方の温存再建に適した方法です。  

患者さんが求めることと、手術でできることのギャップを埋めていく

インプラントによる再建手術が保険適用対象となったのを機に、患者さんたちの意識も大きく変わってきたように感じます。これまでインプラントを希望しながら費用の面で二の足を踏んでいた方たちに手術へのハードルが下がったのはもちろん、乳房再建手術に関する情報が増えたことで再建そのものが身近なものとなり、自家組織での再建を希望する人も増加しています。

どの術式を選択するかは、患者さんたちとの十分なコミュニケーションのうえで、基本的にご本人の希望に基づいて決めていきます。乳房の喪失期間がない一次再建の場合、手術前と同じ胸ができると思っている方が少なくありませんが、実際には傷あとも残り、左右バランスが崩れることもあります。乳房再建手術とは決して元通りの胸を取り戻すことではないことも、患者さんにはきちんと理解していただく必要があります。

乳がん手術から時間をおいて行う二次再建の場合は、膨らみを失っていた胸にエキスパンダーが入っただけで涙をこぼして喜ぶ患者さんもいます。再建することの意義は患者さんそれぞれに異なりますが、手術を通じて提供できることには限界がある以上、一人ひとりと十分なコミュニケーションを重ね、患者さんが求めることとのギャップをしっかりと埋めていくことは、手術にあたる形成外科医にとって非常に重要なプロセスだと考えています。 

乳房再建を手がける医師がたくさん育っていくように――

ティッシュ・エキスパンダーとインプラントによる再建手術については、実施施設の認定制度が始まり、しばらくの間は施設ごとの技術格差の問題も出てくることだと思います。患者さんたちが今後、技術レベルに優れた医師や病院を自力で探していくためには、口コミの評判に加え、各施設の年間症例数を比較することもひとつの目安になっていくものと思います。

乳房再建手術は、まだまだどこの施設でも受けられる状況にはなく、手術のできる医療施設の多くが都市部に偏在しています。乳房再建を手がける形成外科医をもっと育てていくためにも、私自身にも後進たちの育成という役割がいよいよ重要になってきているのを実感します。これから乳房再建手術を学んでいく医師たちには、ぜひとも実績のある医師からの実地指導や見学を重ね、技術の向上に努めてもらいたいと願っています。

(取材:2014年7月)

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名称 大阪大学医学部附属病院 形成外科
所在地 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2番15号
診察時間 火曜日午前中(要紹介状)。初診は冨田興一医師が担当
休診日 土曜・日曜・祝日
TEL 06-6879-5111(代表)
URL http://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/departments/plastic_surgery.php
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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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