• 公開日2023.08.28
  • 最終更新日 2023.08.28

11. 患者力アップにつながる「ヘルスリテラシー」について

正しい医療情報を見極めて、
医師と対等な関係を築くことが大切

講演:女性医療ジャーナリスト 増田美加氏

 

「ヘルスリテラシーをみにつけよう~あふれる情報から正しい情報を選び、納得して治療を受けるために」

ヘルスリテラシーとは、健康情報を“理解・活用”できる力です*1。ヘルスリテラシーを身につけることが患者力(自分の健康と命を守る)に繋がります。知識を得るだけにとどまらず、それをどう使いこなしていくかが大切だという考え方です。

*1厚労省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』より

日本人のヘルスリテラシーは、先進国に比べて低いと言われています*2。私たちは、学校で健康教育を受ける機会がほとんどありませんでした。そのことが日本人のヘルスリテラシーの低さに影響しているのでは、と考えます。しかし現在、小学校、中学校、高校ではがん教育が導入されていて、次世代からヘルスリテラシーが高まる期待を持っています。

*2サイト『健康を決める力』中山和弘(聖路加国際大学)

ヘルスリテラシーを身につけることが自分の健康と命を守る「患者力」アップにつながります。ここではヘルスリテラシーにおける、これら3つのポイント*3をご紹介します。

1 医師とコミュニケーション力を上げる
2 自分の病気と治療の知識をもつ
3 情報を使いこなす力を高める

*3『医者に手抜きされて死なないための患者力』増田美加著(講談社)より

1.医師とのコミュニケーション力を上げる
~医師から知りたい情報を聞き出し、病気と闘う味方になってもらうために

私たちが病気と闘うため、知りたい情報を得るためには医師に味方になってもらうことが大切です。そのため、医師とコミュニケーションをとるには、どのようにしたらよいかをお話します。

・大事な面談の際は、メモ&録音or家族や親しい人に同席を頼む
患者さん自身が、医師に質問しながらメモを取るのはとても大変です。録音する、あるいは家族や親しい人に同席をお願いできたら安心です。なお、録音する場合は医師にひと言、録音をしたい旨を伝えてからにしましょう。

・医師への質問は最大5つ
まずは事前に病気について下調べをします。その上で自分は何が知りたいのか、不安なのかを思いつくままに書き出していきます。そのメモをもとに似たような質問をまとめ、ポイントを絞り優先順位をつけます。その内容をB5かA4の紙にまとめ、医師に見せながら質問します。話し始める前に、医師に質問の全容を明らかにすることはとても大切です。1回の面談での質問数は、最大で5つ程度にとどめましょう。

・医師の目を見て、名前で呼びかける
医師の目をしっかり見て、「〇〇先生」と名前で呼びかけてみてください。人と人のコミュニケーションで、しっかり目を見て名前を呼ぶことはとても重要です。

・一度で正しく聞き取るのは難しい。メモを見返し次に臨む
がんと診断され、動揺している状態で医療の専門的な話を聞くため、理解が追いつかないこともあります。メモと録音を活用し、疑問を書き出し、次の面談に臨みます。面談に同席者がいる場合は、面談後話し合う時間を持ちましょう。自分とは違う目線で意見を言ってくれることもあるでしょう。同席者が家族の場合、自分と家族が同じ知識と理解を得ながら、ともに病気と闘うというのはとても大事なことです。1回や2回の面談で諦めず、納得がいくまで医師に質問しましょう。

・「お任せします」はNG
医師ときちんと話し合い、自分自身が納得して選ぶことが大切。「お任せします」はNGです。 医師とは人対人の対等な関係性を築きましょう。

2.自分の病気と治療の知識をもつ
~あふれるネット情報、どれが正しいかわからない
病気体験のブルグは、自分と違う治療をしていて不安になることも

ネット上にはさまざまな情報があふれ、どれが正しい情報なのか見分けるのは困難です。ぜひ医師に正しい情報、情報源について聞いてみてください。

また、ブログの体験談(闘病記)については「勇気を得るための読み物」だと思って読んでください。そこから病気や治療情報を得るものではないと割り切ってください。

自分で情報を探して学ぶ姿勢も大切です。知識は力。病と闘う武器になります。そして医師は、病気と闘う上での最大のパートナーです。医師を味方につけ、医師から正しい情報、情報源を聞き出す。そのためにも、自分の病気や治療に関する最低限の知識は必要です。

私たち患者は、専門家(医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、薬剤師など)に聞くことで、相手の誠実さと信頼性を見極めることができます。医療者とコミュニケーションを深めるチャンスです。

正しい情報へアクセスできるお薦めのサイトをご紹介します。

・国立がん研究センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/index.html

・Minds(マインズ)ガイドラインライブラリhttps://minds.jcqhc.or.jp/

・患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版https://jbcs.xsrv.jp/guideline/p2023/

・NPO法人キャンサーネットジャパン(CNJ)https://www.cancernet.jp/

3.情報を使いこなす力を高める
~提案されている治療方針で本当にいいの?

医師に治療法を提案されたものの、「これで本当にいいのか」と迷うこともあると思います。そのような時は、知識を得て情報を使いこなすことで迷いは減っていきます。すでにご紹介した信頼のおける情報源から知識を得て、情報を掴み取る。その上で、ぜひ主治医や看護師さんに意見を聞いてください。

私たちにとって主治医は、病気と闘う上での最大の武器であり、パートナーです。「主治医にはなかなか聞きにくい」という思いもありますが、うまく面談中に質問を盛り込んでみてください。そのほか、病院内にあるがん相談支援センターや医療相談窓口、患者相談室に相談する方法もあります。また、患者会やピアサポート(同じ悩みを持つ人同士で支え合う活動)の会もたくさんありますので、こういう会に参加して相談することもできます。

病院や治療法を決めるとき、もっとも大事にすべきなのは「自分はどうしたいのか」という希望です。自分の希望を明らかにするために、まずは書き出してみてください。そして、「これだけは外せない」というものを優先順位の1位に置きます。書いたものを眺めているうちに、自ずと自分が選ぶべき治療が見えてきます。もちろん全てが叶うわけではありませんが、優先順位をつけておくことが自分らしい納得できる治療に繋がります。

また、自分が希望する治療について、医師から難しいと言われることもあるかもしれません。医師が出来ないと言う理由に納得できなければ、自分なりに調べて納得いくまで医師に質問をしましょう。また、セカンドオピニオンを利用することも大切です。

正解はありません。自分が納得できる治療をすることがベストです。

 

増田美加オフィシャルサイト
http://office-mikamasuda.com/

*本稿は2022年1月16日に開催した「ヘルスリテラシー」セミナーを文章化したものに増田美加氏が加筆修正しました。

 

このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。 治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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