乳房再建手術最前線リスト
乳房再建医の声

乳房再建手術には患者さん自身の“ボディイメージ”を高めるパワーが 武田睦医師

武田 睦(たけだ あつし)
東北公済病院 形成外科部長 乳腺治療・再建センター副センター長


術式
・インプラント
・自家組織(主に穿通枝皮弁、広背筋皮弁)
・脂肪注入
連携病院
 泉中央乳腺クリニック(仙台市泉区)、雄勝中央病院(秋田県湯沢市)
標準手術時間:
・エキスパンダー挿入 1時間、インプラント入れ替え 2時間
・穿通枝皮弁 8~10時間
・広背筋皮弁 5~6時間
・脂肪注入 1〜2時間
標準入院日数:
・エキスパンダー挿入 約5日、インプラント入れ替え 約5日
・穿通枝皮弁 約2週間
・広背筋皮弁 約10日
乳頭・乳輪形成の時期:
・乳頭 乳房再建から半年後以降が目安 ※健側乳頭の移植、皮弁法など
・乳輪 乳輪形成の半年後以降が目安  ※主にタトゥー

 

乳腺外科との協力で「乳房のある生活を取り戻す」ことをめざします

東北公済病院では、乳房再建手術に本腰を入れていくため、2009年に乳房再建専門外来を開設。2012年には乳腺治療再建センターを設置し、乳腺外科と協力しあって乳房再建までを視野に入れた乳がん治療を進めており、現在では年間200件を超える乳房再建関連の手術を手がけています。

私が1997年に東北大学の形成外科に入局した当時は、乳房再建手術は年に1〜2件あるかどうかという程度でした。当時の東北地方の乳房再建に対する認識は、たいへん低いものだったのです。そんな中、秋田県の平鹿総合病院(横手市)に勤務しているときに、乳房再建に積極的な乳腺外科の先生と一緒に仕事をする機会に恵まれ、患者さんの紹介も増え、乳房再建についても手がけるようになりました。東北の小さな町でも、認識と理解が深まれば乳房再建のニーズはあるし、患者さんも非常に喜んでくれる。とてもやりがいのある分野だと思いました。

多様な術式で患者さんの満足度の向上に貢献したい

現在は、自家組織を用いた再建において、穿通枝皮弁、浅下腹壁動脈皮弁、広背筋皮弁などの方法を主に行っています。腹筋に犠牲が生じる遊離腹直筋皮弁から、腹筋を全く採取しない穿通枝皮弁や浅下腹壁動脈皮弁に術式をアップデートし最新技術を得るために、全国各地の病院を見学しました。そのきっかけを作ってくれたのが、ある患者さんの一言だったのです。

その患者さんは仙台にお住まいで、その当時勤務していた東北大学病院から歩いてたった5分のところに住んでいました。ところが、穿通枝皮弁による再建を受けるために、わざわざ関東地方の病院へ数時間かけて通っているというのです。その術後の傷のケアのために私の外来を紹介され受診したのですが、その方から、「仙台では乳房再建できないと思っていた。仙台でも穿通枝皮弁の手術が受けられるようになるといいですね」と言われたことで、気持ちに火がつきました。東北の皆さんが、この東北の病院で、美しい乳房再建を受けられるようにしたい、と思ったのです。

首都圏では大病院がたくさんあり、インプラントだったらあの病院、穿通枝皮弁だったらこの病院といったある程度の住み分けがされています。ところが、東北地方のような過疎地では、同じようにいきません。私は、「当院だけでインプラントから自家組織まであらゆる術式に対応し、乳がん手術から乳房再建までの治療を完結させなければ」と考えました。そして、「首都圏に勝るとも劣らないクオリティーの手術を、東北の患者さんに提供したい」と強く思っています。

乳房再建手術の力を実感したひとつの経験

形成外科の手術の目的は、患者さんのQOL(生活の質)の向上にあります。とりわけ、乳房再建において、手術の果たす役割はきわめて大きいと感じます。

まだ乳房再建を手がけるようになって間もないころ、再建の途中だった一人の患者さんの外見が、日を追うごとに明らかに変わっていくのに驚いたことがあります。初めて受診された時は、その患者さんは特に気にとめることもない普通の装いでした。ところが、エキスパンダーで胸が膨らんでいくにつれ、髪の色が明るくなり、靴のヒールが高くなり、服装も華やかなものへと変わっていきました。その変化には、目を見張るものがありました。きっと乳がんで胸を失ってからは自分のボディイメージが下がってしまい、彼女にとっては随分地味な装いになっていたのでしょう。再建が進むにつれ、乳がん前のありのままの華やかな装いに戻ったのだと思います。「乳房再建には、こうも患者さんを変えるすごいパワーがあるんだ…」とつくづく実感させられる出来事でした。

乳房再建手術には、さまざまな選択肢があるので、術式の決定まで皆さんたいへん悩まれます。自分が手術を行う以上は、後悔のない結果が得られるように、外来でも再建相談は予約制にして、十分に話し合う時間を取るようにしています。インプラントにも、自家組織にも、それぞれ一長一短があり、その中で各人のライフスタイルに合った方法を一緒に探していくことが、医師の使命だと考えています。

医療の世界は日進月歩。今後もどんどん進歩的な技術が取り入れられ、より美しい再建が可能になっていくことでしょう。私自身も、再建乳頭の高さを維持できる新しい乳頭再建法を研究・開発中です。また近年は、リンパ節郭清後のリンパ浮腫治療に対し、穿通枝皮弁とともにリンパ節を移植し、浮腫の改善に効果を上げています。患者さんの満足度を少しでも高めていけるよう、さらに努力を重ねていきたいと思います。

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名称 東北公済病院
所在地 〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町2−3−11
診察時間 月9:00~12:00、第3~5火14:00~17:00、水・木14:00~17:00  ※再建相談は要予約
休診日 土・日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
TEL 022-227-2211(代表)
URL http://www.tohokukosai.com/sinryouka/keiseigeka.html
このサイトのコンテンツについて

このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2018.03.22.

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