乳房再建手術最前線リスト
乳房再建手術経験者の声

体験者の声を聞き、ご自身の明るい未来を想像してほしい

埼玉県 ACさん(40代)

 

 

 

 

 

 

手術方式:「一次二期再建」
(左乳房全摘し、同時にエキスパンダー挿入。8か月後にインプラントに入れ替え)

・乳がん手術
2015年6月 左乳房全摘手術
執刀 江戸川病院 乳腺外科 田澤篤先生
・乳房再建手術
2015年6月 エキスパンダー挿入
2016年3月 インプラントに入れ替え(乳頭乳輪未着手)
執刀 江戸川病院 形成外科 櫻井裕之医師(東京女子医科大学病院より週1回来院)

術前治療:なし
術後治療:タモキシフェン7年

42歳で乳がんと診断。1㎝の浸潤ガンが見つかった

私は、38歳から会社の健診で、自費もプラスしてエコーとマンモグラフィの検査を受けていました。

42歳のときに、左乳房に石灰化が見つかり、精密検査でマンモトーム生検をやっていただき、がんが見つかりました。
当時、年齢的にも、そろそろ子どもを諦めないといけないかなと思っていた矢先だったので、これをきっかけに、むしろすっぱり諦められてよかったのではないかなと思います。

毎年、検査を受けていたので非浸潤がんで見つかると思っていたのですが、生検の結果、1cmの浸潤がんでした。がんが見つかったことより、浸潤がんだったことのほうがショックでしたが、自費をプラスして「検診貧乏だな」と思いながら検診をしていたけれど、やっていてよかったと思いました。

MRIでがんの広がりを確認、自分にとって最善の治療法を選択

乳がんの診断をしてくれたクリニックの先生と相性が合わず、転院先を探すことになりました。乳がんについて調べていた際に、江戸川病院の先生が病院のサイトに書かれていたブログを見つけました。
そのブログには、がんや石灰化の仕組みが詳しく書かれてあり、「こういうことだったのか!」と、そこで乳がんについて理解しました。その後、何回か質問しご返信をいただくというやりとりがあり、そのままお願いしようと転院しました。

がんの診断を受けたクリニックでは、カラーのMRI画像で、がんの広がりを見せていただきました。そのクリニックではC領域(時計の1時から3時)を1/4切除する、温存手術を提案されました。
しかし、私はMRIでがんの広がりを見てしまって、怖くてさっぱりとりたいという気持ちがあり、また1/4切除すると、どんな風に乳房が変形するのかまったくイメージがわかないことも気になりました。
江戸川病院の主治医にも1/4切除を提案されたのですが「全摘して再建します」と言って、形成外科を紹介していただきました。

私のがんのサブタイプは、ルミナールタイプのAとBの境界線と言われ、オンコタイプ(乳がんの遺伝子検査)をするという選択肢もあったのですが、高額だったため医療保険についていたサービスを利用し、がん専門病院でセカンドオピニオンを受けました。主治医には、術前から術後補助療法の選択の参考としてセカンドオピニオンを受けると言っておいたので快く送り出してくれました。セカンドオピニオンでは病理から見てくださいました。

江戸川病院にセカンドオピニオンの相談結果を持ち帰り、「その病院ではこの病理だったら、病院独自のデータでも化学療法の上乗せ効果は5%未満であり、積極的に化学療法をお勧めすることはしない。化学療法をしてもしなくてもどちらでも良く、本人次第と言われた」という話をし、私は「しないほうを選択します」と言ったら、主治医も「私もそう思います」とおっしゃいました。

その頃、夫が交通事故で全身打撲を負い、仕事に行けなくなってしまいました。
それが乳がん告知の2週間後です。
自分が抗がん剤治療を受けて、仕事に行けなくなったら生活できない……という思いもあり、抗がん剤治療を選択せず、タモキシフェン療法のみ行うことにしました。

タモキシフェンの服用は先生と相談して7年間続けようと決めたので、まだ継続しています。
あと2年続けます。

一緒に悩んでくれる先生に出会い、やれることをようろと決意

乳房再建については、東京女子医科大学病院から江戸川病院にいらしていた、形成外科の櫻井裕之先生にお願いしました。
当初、乳頭乳輪を残し皮下乳腺全摘術とインプラントでの再建を考えていたのですが、櫻井先生に「乳頭乳輪の位置が、上に移動してしまう」と言われ、乳頭乳輪も切除する全摘に変更しました。

このとき、他にも自分の知識と異なることが多々あり、「私があれこれ勝手に思い描いていた、完璧な再建はできないのだ」と、悲しくなったことを覚えています。
最初のクリニックで、自分の知識が足りなくて先生と話がかみ合わず、またあまり詳しく説明してくださらなくて、憤りや疎外感を感じ転院したという経緯がありました。
その後、先生ときちんと話せるように明け方までネット検索し、本もたくさん読み勉強したにもかかわらず、形成外科ではまったく通用しなかったと、ここで1回挫折を味わったんです。

「私の頑張りは無駄だったのか」と心が折れ、先生の前で泣いたら気持ちが落ち着きました。

再建手術の術式は先生によっても違うし、病院の体制によってできる、できないがある。ならば信頼関係のできた先生に執刀してもらおう、やれることをやろうと、決心がつきました。
私を担当してくださる形成外科医は、あいまいな言葉ではぐらかすのではなく、難しいことは難しい、わからないことはわからないと正直におっしゃいます。私は、一緒に悩んでくれる先生がほしかったので、この先生にお願いしようと思えました。

2015年6月、左乳房の全摘手術と同時にエキスパンダーを入れました。私は比較的エキスパンダーによる痛みが少ない方でしたが、後半は圧迫感が強かったので、先生に相談し、少し生理食塩水をぬいてもらうこともありました。

インプラントの入れ替えは、とくに問題もなく、感染症もおこさず入れ替えてもうすぐ5年です。
入れ替えた直後は、やわらかくてシリコンの丸みがきれいに出ていましたが、5年目になり、乳房の下溝線のところがまんまるではなく少しいびつになりました。また、胸の上のところに、斜めにへこみができました。

私の乳房には、BIA-ALCLでリコールになった、アラガン社のインプラントが入っています。リコールになったときは「まさかこんなことが起こるとは」とびっくりしたのですが、保険適用になってから何年もたっていないし、入れるときから未知のトラブルがあるかもしれないという話を聞いていたので、冷静に受け止めました。
あるセミナーで、BIA-ALCLについては、きちんと検診を受けていれば大丈夫だということと、見た目ですぐにわかると聞いたので、発見が遅れることはないだろうと思っています。

私の主治医は、10年後に必ずインプラントを入れ替えなければいけないということではなく、リコールになったものが入っていたとしても、患者さんの希望がなければ、入れ替えはしないと。トラブルがあり入れ替えたいという希望があれば、いつでも入れ替えるよとおっしゃっていました。
BIA-ALCLの恐怖のために入れ替えるというよりは、5年目にして少し変形や被膜拘縮が始まったので、10年目ぐらいに痛みが出てきたり、破損が気になったりするんじゃないかなと。むしろ破損させないために、入れ替えが必要かなと思っています。

また、私はあえて乳頭乳輪をつくりませんでした。再建後、被膜拘縮が起きて、左右の乳首の位置がずれることもあるかもしれないと思ったからです。
私は、今のこの状態をとても気に入っています。また再建についても、無理のないほうを選び過程を楽しめたのがよかったと思います。

乳がん経験者の声を聞いて視野を広げていただけたら

手術の翌年、乳がんに関する情報収集について学びたいと思い、「乳がん体験者コーディネーター(BEC)養成講座」(※注)を受けました。

※注 乳がん体験者コーディネーター(BEC)養成講座
認定NPO法人キャンサーネットジャパンが行う、最新の乳がん情報を学ぶ養成講座。乳がんと診断され直面する問題(主として乳がん医療情報に関する問題)を、解決できる・あるいは解決に導く既存の信頼性の高い情報にアクセスし、提供できる能力を習得。(認定NPO法人キャンサーネットジャパンHPより)

講座が終了し、乳がん体験者コーディネーターの認定を受けた現在は、患者さんを支援するサロンの運営など、ピアサポート活動をしています。

私にとって乳房再建は、癒やしでもありチャレンジでもありました。
乳がんになると治療のことなど、決めなくてはいけないことが一気に押し寄せます。基本的なことは、情報元がしっかりしているウェブサイトや書籍で調べ、最新情報については、専門医によるセミナーなどで情報収集するといいと思います。ただし、医師や病院によって方法が異なる場合があるので、自分の形成外科医との打ち合わせをするための基礎知識と思って勉強するとよいのではないかと思います。

また、経験者の声を聞いたり直接話せる機会があれば、ぜひ利用してください。同じ再建方法でもすんなりできたり、紆余曲折あったりといろいろですし、経験者の声を聞くことで、また違う角度から考えることができ、視野がぐっと広がると思います。それに、いろいろなことを乗り越えてきた経験者に、ご自身の明るい未来を重ねていただけるのではないかと思うからです。

情報収集をし、ご自身でしっかり考えることができたら、乳房を再建するという選択をしても、しない選択をしても、私はこれでいいと納得し自分の身体を慈しめるようになるのではないかと思います。

(オンライン取材:2020年9月)

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2020.10.14.

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