乳房再建手術最前線リスト
乳房再建手術経験者の声

乳房全摘から20年。再び膨らんだ右胸をごく自然に受け入れている自分がいました

千葉県 UAさん(60歳)

 

 

 

 

 

 

手術方式:二次二期再建
(右乳房全摘し、20年後にエキスパンダー挿入、腹部自家組織で再建)

・乳がん手術
1999年12月 右乳房全摘手術
執刀:国立がんセンター東病院 井本滋医師(当時)
・乳房再建手術
2019年2月 エキスパンダー挿入
2019年10月 腹部自家組織(穿通枝皮弁法)で再建
執刀:東京医科歯科大学 形成・美容外科 森弘樹医師
・乳頭乳輪
2020年6月 乳頭:肋軟骨を芯にして皮弁の立ち上げ
2020年11月 乳頭乳輪:タトゥーで着色
執刀:東京医科歯科大学 形成・美容外科 森弘樹医師
術前治療:なし
術後治療:抗がん剤治療(半年間)、ホルモン治療(タモキシフェン・5年間)

乳房全摘後19年目に、衝撃の事実。まさに“天からの啓示”!?

「えええーーー!!!保険適用で乳房再建できるんですか?」

あまりにビックリしすぎて、診察室でとてつもなく大きな声を出してしまった私。看護師さんにクスッと笑われていることすら咄嗟には気がつかないほどの衝撃でした。

乳がん治療で39歳の時に右乳房を摘出してから19年間、平らな右胸に「これが私の個性。おっぱいが無くても強く生きる!」と自分に言い聞かせて過ごしてきました。乳房摘出の際には200万円とも300万円とも言われた乳房再建手術費用。
当時、子どもたちは中学3年生と小学6年生。教育費などを考えると、とても自分の乳房再建に高額な医療費を払える状況ではなく、きっぱりと諦めました。
だから私のカルテには「乳房は再建しない」という情報が記されていたのだと思います。乳房摘出後の定期検診で乳房再建の話題がのぼることはなく、乳房再建術が保険適用になるというニュースも私の耳には届かないまま、19年もの月日が流れていきました。幸い再発が無く、主治医に「今後は近くの病院で定期検診を受けてください」と転院を勧められて松戸三和病院へ。初回検診の時に乳腺外科の先生に“保険適用”での乳房再建を提案され、その衝撃の事実にただ驚くばかりでした。

毎晩、お風呂に入るたびに鏡に映る自分の姿。「これが私」と受け入れてはいましたが、温泉に行けばよその小さな子どもに怖い思いをさせてしまったり、下を向いてかがんだ時にブラの中に入れたパッドが首元から飛び出してきたり、その度に“乳房が無い”という現実を突きつけられ、悲しい思いをすることもありました。
でも何より、いつか人生を全うしてお棺に入る時、身体に欠損のない状態で入れたら・・・という思いが年々大きくなっていたのです。還暦を前に、まさに天からの啓示のようなタイミングでした。

膨らみの戻った右胸。自然であたたかみのある乳房に、感動!

松戸三和病院の形成外科で外来を担当されている東京医科歯科大学の先生から、乳房再建について詳しくお聞きし、再建することを決めました。しかし術式を巡っては色々と思い悩みました。長い間、人工的なゼリー状パッドをブラジャーの下に入れていたことから、柔らかくてあたたかい自家組織での再建に憧れを抱いたものの、シニアモデルとして活動しているため、ウエストまわりに大きくメスを入れることにも抵抗がありました。あれこれと思い悩んで結論が出ない私に、先生がご紹介くださったのが、東京医科歯科大学教授の森弘樹先生です。森先生は自家組織再建について私のたくさんの質問に熱心に答えてくださいました。また、製薬会社で働く娘からの後押しもあり、ようやく自家組織を移植して再建する決心がついたのです。

まずはエキスパンダーを入れる手術を行い、20年間近く平らだった私の右胸に膨らみが戻りました。当初は皮膚や大胸筋が引き攣れるような痛みを感じ、辛くなることも。それでも、エキスパンダーで膨らみの戻った右胸をごく自然に“自分の胸”として受け入れている自分がいました。乳房を摘出したときは、“無い”ことを受け入れるのに時間がかかりましたが、“有る”ことを受け入れるのはとても早く、自分でも驚きました。その後、胸と乳頭乳輪の再建を経て、私の右胸は左胸そっくりに生まれ変わりました。そのひとつひとつのプロセスが感動的で、毎回スマホでおっぱいの写真を撮影し、今でも自分の記録として大切に保存しています。

今後は他の誰かのために“心身のケア”を。仕事に、趣味に、新しい人生を満喫中

乳房再建が完了するのとほぼ時を同じくして、還暦を迎えました。

それまでの30年間は小学生向けの塾講師やボーイスカウトの指導者、さらにシニアモデルなど、たくさんの仕事を並行して続けてきました。さらにここ10年ほどはエステティシャンとして、お客様に“心身のケア”を提供することに自分の役割を見出すようになりました。エステティシャンとしての技能をさらに高め、より良いケアをお客様に提供するため、今はレベルアップの資格試験にチャレンジしているところです。
人生の経験を積み重ねた自分だからこそできる癒しを追及するために、まずはお客様のお話をゆっくり受け止め、求められれば自分の中にある経験は包み隠さずお伝えするようにしています。

趣味で声楽も楽しんでいます。これも、聴いてくださる方に心から癒されてほしいという想いの表れです。これまでは左右の胸の差を気にするあまり、胸元を強調するデザインや、デコルテが大きく開いたステージドレスを敬遠してきましたが、今後は堂々と身に着けることができそうです。今からステージに立つのが本当に楽しみです。

乳がん治療を経て、乳房再建の道を拓いてくださった先生方、そして右胸を再建してくださった森先生には、感謝してもしきれません。右胸ができたことが本当に嬉しく、親しい方にはビフォー・アフターの私のおっぱいの写真を見せることもあります。夫からは「そういうのは、あまり人様に見せちゃダメなんじゃないか・・・?」とたしなめられることもありますが(笑)。

再建を終えて感じることは、まず一歩踏み出すことの大切さです。やらずに後悔するよりも、やってみることで、世界は必ず広がります。乳房再建を経て、今、また頑張ろうという気持ちでいっぱいです。

(2020年11月 オンライン取材)

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2020.12.18.

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