乳房再建手術最前線リスト
乳房再建医の声

多様化・高度化が進む乳房再建術。再建後も自分の身体を好きなままでいて欲しい

素輪善弘(そわよしひろ)
京都府立医科大学 形成外科 講師 診療科長

術式:
・自家組織(穿通枝皮弁 ドナーは腹部・大腿部、広背筋皮弁)
*広背筋皮弁は傷あとを目立たせないよう脇下の切開による術式(スカーレス広背筋皮弁法)
・インプラント
・脂肪注入
標準手術時間:
・自家組織 穿通枝皮弁(腹部・大腿部) 6~7時間、広背筋皮弁 1.5時間
・エキスパンダー挿入 1.5時間弱、インプラント入れ替え 1~1.5時間
標準入院日数:
・自家組織 広背筋皮弁 10日~2週間
穿通枝皮弁(腹部・大腿部) 約1週間
・エキスパンダー、インプラント入れ替え  1週間
乳頭・乳輪再建の時期:
・乳房再建手術の3か月後
連携病院:
・洛和会 丸太町病院:脂肪注入(土曜日)
・医療法人財団佐々木会 深江整形外科:乳頭・乳輪再建術(随時)

乳房再建の鍵は“クリエイション”と“イマジネーション”

もともとは先天性の疾患である口唇口蓋裂症を専門に治療していました。ご縁があり、形成外科で乳房再建の専門チームを立ち上げるタイミングで合流し、本格的に乳房再建に取り組むことになりました。形成外科には「外傷などで位置がずれたり、離れたりしたものを元の位置・機能に精度高く復元する」分野と、「限られた材料でゼロから形態を作り上げる」分野がありますが、口唇口蓋裂も乳房再建も後者であり、もともと関心の高い分野でした。

世の中の治療の多くは“体内の不具合を治す”ものですが、乳房再建は新たに創り出すという点で非常にクリエイティブ。手術台に横たわる目の前の患者さんが、立ったり、座ったり、歩いたりするときに、再建後の乳房はどうあるべきか。執刀医がどれだけイマジネーションを働かせることができるかが問われる手術です。乳房再建の意義は、自分のクリエイションとイマジネーションが患者さんのQOL(生活の質)にそのまま直結すること。患者さんには、乳房再建後もご自分の身体を好きなままでいて欲しいし、ポジティブなボディイメージを持ち続けて欲しい。そこにダイレクトに貢献できることが、私にとってのやりがいであり、乳房再建術の意義だと思います。

最初から着地点は決めず、患者さんに伴走しながらの乳房再建

乳房再建術は、ここ10年で高度化・多様化しています。

患者さんのライフスタイルやライフステージ、価値観、体質などに応じて、複数の選択肢の中から再建方法を選ぶこともできるようになっていますから、私は「最初から着地点を決めずに、伴走しながら再建を目指す」というスタンスで患者さんと向き合うようにしています。そのためには、どの術式であっても安心して手術に臨んでもらえるよう、技術を磨くことが私たち形成外科医の役割です。

一方で、術式の選択肢が多い分、患者さんご自身も乳房再建に先立って、一定の知識を持っておくことは重要だと考えます。そこで、その一助として『自分らしい乳房再建を選ぶガイド』というパンフレットを制作しました。このパンフレットでは、乳房再建の術式や様々な事例などを紹介することで、「何が自分に合っているのか」を患者さんが自らに問いかけながら、多くの再建オプションの中から自身にとってベストな再建法を見つけるお手伝いをしています。当院では乳がん治療に関わる乳腺外科の先生方を始めとした多くの方が、乳房再建を“非常にポジティブなこと”として捉えてくださっており、できるだけ多くの患者さんに関心を持ってもらえるよう、このパンフレットを積極的に配布しています。

見据えるのは「誰もが満足度の高い乳房再建手術を受けられる未来」

乳房再建術の多くが保険適用になり、もはや特別なものではなく、誰でも受けられる手術になっています。身体的負担が少なく、傷跡も目立ちにくくするよう、新しい術式もどんどん発表されています。それでもいまだに乳房再建手術を受けるにあたっての地域格差や情報格差はありますし、術者の技量について統一した評価基準もないため、まだまだ進化の途上にあります。

私は臨床・基礎研究も積極的に行っており、AI(人工知能)の画像解析システムを応用して乳房再建術後の整容性評価システムを考案しました。形成外科医や看護師などのコメディカルスタッフ、そして患者さんからの評価も取り入れることで、患者さんの満足度とともに、日本の乳房再建技術の向上に貢献したいと考えています。

また、近未来の新たな治療法として「乳房再生医療」の研究も行い、2020年には世界で初めて、血管を持つ脂肪組織ボール(ミニ乳房)の小動物への移植に成功しました。高い安全性と生着率が期待される術式として、将来的に実用化を目指しています。

このように、乳房再建を取り巻く環境は進化を続けており、誰もが満足する乳房再建術を受けられるようにすることが私の使命だと考えています。ぜひ最新の情報に注目し、形成外科を受診してもらえればと思います。

(2021年4月 オンライン取材)

 

名称 京都府立医科大学附属病院
所在地 〒602-0841 京都府京都市上京区広小路上梶井465
診察時間 午前8:45~午前11:00 *素輪先生の診察は月曜日
休診日 土曜日・ 日曜日・祝祭日・年末年始(12月29日~1月3日)
TEL 075-251-5111(代)
URL http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/keisei/top.html
このサイトのコンテンツについて

このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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