• 公開日2023.05.02
  • 最終更新日 2024.01.17

直感を信じて転院を決断。「主治医との相性」は互いの信頼関係で築くもの

東京都T.Aさん(51歳)

 

手術方式:一次二期再建
・乳がん手術
2018年11月 乳がん手術(両側全摘)+エキスパンダー挿入(両側)

執刀 東京都立多摩総合医療センター乳腺外科 榊原淳太先生(当時)
東京都立多摩総合医療センター形成外科 越智正和先生

・乳房再建手術

2019年1月 感染症からの薬疹により右側エキスパンダー抜去
2021年2月 インプラント入れ替え(左側)、エキスパンダー再挿入(右側)
2022年4月 インプラント入れ替え(右側)、修正のためインプラント再入れ替え(左側)

執刀 東京都立多摩総合医療センター 形成外科 越智正和先生

・乳頭乳輪再建手術
検討中

術前検査:オンコタイプDX
術前治療:術前ホルモン療法(タモキシフェン)
術後治療:放射線治療(右側)、ホルモン療法(タモキシフェン10年、リュープリン3年)

不安と怖さでなかなか検査に行けなかった

実は長男を出産した32歳のとき、胸にしこりが見つかり一度針生検をしています。その時は何ともなかったのですが、結果が出るまでの間のものすごく不安だった気持ちがトラウマになりました。

検診は主人の会社の被保険者検診に乳房の超音波検査を追加して受けていましたが、出産や育児などもあり、時々になってしまっていました。

47歳のとき、お風呂でわずかな乳房のひきつれを見つけました。それまでも気になる兆候はあったのですが、なかなか受診する気持ちになれずにいたのは、そのトラウマのこともあり、不安を先送りにしていたかもしれません。

ちょうど知人から乳がんになった人の話を聞き、自分もちゃんと検査しなければと思っていた時だったので、乳がん検診の予約をしようと思いクリニックに連絡しました。症状を説明したところ「診察を受けてください」といわれ、受診したその場で乳がんの疑いと反対側の胸にも怪しいものが見つかりました。

病院選びは難しい。最後は直感で転院を決断

乳がんと診断されたときに困ったことは、どこの病院で手術を受ければいいかが全くわからなかったことです。クリニックの先生から紹介された病院に行かなければいけないものだと思っていました。必ずしもそうではないと教えてくれたのはクリニックの看護師さん。「先生が紹介した病院でなくても、あなたが受けたいところで大丈夫だから」という言葉のおかげで視野が広がりました。

しかし、当時の私に他の選択肢はなく、結局、最初に紹介された病院を訪れることになりました。ところが、いざ病院へ行ってみると心境が変化。乳がんの治療は、手術後も長く続きます。ゆえに自分自身が納得できる場所で治療に向き合いたい。そして、その場所は他にあるような気がしたのです。いつもの自分であればモヤモヤしながら折り合いをつけるところですが、直感を信じて転院を決断。転院先で手術と治療を受けることにしました。

選択の決め手は先生との相性です。診察室に入ったとき、PCではなくこちらをきちんと見て「こんにちは」と言ってくれた主治医。乳がんの説明の後「主治医、僕でいい?」と聞かれ、本当に転院してよかったと思いました。数日後、検査をした帰り際に「死なないから。大丈夫だからね!」と言ってくださったことがとても嬉しく、この先生なら大丈夫だと確信しました。心から信頼できる先生に出会うことができたおかげで、何があっても大丈夫という気持ちで治療を乗り切ることができました。

予期せぬ薬疹と再建手術への道のり

退院後は子どもの受験のことなどで忙しくしていました。退院1週間後に発熱したのですがまさか感染症とは思わず、風邪だと思っていました。風邪薬を飲んで熱は下がりましたが、乳房の色が変色していたので形成外科を受診したところ感染症の疑い。週3回通院して治療しましたが、年末で外来治療ができなくなるので入院して治療しました。

無事年を越し退院したのですが、退院した翌日にまた発熱して緊急入院。薬疹でした。感染症内科、総合内科、皮膚科、形成外科が連携して治療にあたってくださり事なきを得ましたが、残念ながら右側のエキスパンダーは抜去することになり、抜去後、皮膚が落ち着くのを待って、当初から予定されていた放射線治療を受けました。

私も形成外科の主治医も放射線後にまた再建するつもりでいたのですが、放射線科の先生は最初、放射線治療後の再建に反対の立場でした。しかし再建したいという希望を伝えると、形成の主治医と話をしたうえで、色々と調べてくださり、次の診察のときには応援してくれるようになりました。放射線後の皮膚に対する保湿の大切さはその放射線科の先生が教えてくれました。

しかし放射線治療が終わり、左側のエキスパンダーをインプラントに入れ替えようと思ったときに、インプラントの自主回収*¹にあたってしまい、再建が一旦中止になってしまいます。

 先生も人間。信頼関係を大切にして一緒に乗り越える

その後再建が中断しているときに糖尿病が発覚。再建手術が無事に出来るか不安になり、すぐに形成の主治医に連絡しました。不安な気持ちを伝えると、主治医は「乗り掛かった舟だから、一緒にやりましょう」と言ってくださいました。

その後、左側のインプラント入れ替えと同時に右側にエキスパンダーを再挿入。慎重に皮膚を伸ばしたあと、インプラントに入れ替えることができました。右側も新しい左の胸に合わせて同時に修正をして、インプラントの再入れ替えをしていただきました。

今のお胸は高さもしっかり作ってもらえて、満足しています。乳頭乳輪については放射線を当てた側の皮膚の状態も考え、もうしばらく検討したいと思っています。

薬疹の時にお正月休みも返上して親身になって治療してくださった先生との信頼関係を大切にしたかったし、その信頼関係があったからこそ、治療を頑張れたと思っています。

主治医との相性はもちろんあると思いますが、それは信頼関係とともにお互いが作り上げていくものかもしれません。

*インタビュー記事は個人の体験談に基づく感想で、E-BeCで推奨するものではありません。体験談は再建を考える際の参考にしていただき、主治医や医療者とよく相談をして決めるようにしてください。

(E-BeC×アラガン・ジャパン共催「~なる前に考えておきたい~乳がんになった日からの選択展」のインタビューを再編集:2023年4月)

*¹ 2019年7月、医薬品/医療機器メーカーのアラガン社のテクスチャードタイプのインプラントを使用した人に“ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)”という稀な合併症の発症があったことを受け、FDA(アメリカ食品医薬品局)が同社に当該製品の自主回収を求めたことによるもので、同社は世界中の市場からの乳房再建用エキスパンダーとインプラントの自主回収を行いました。

このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。 治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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