• 公開日2015.12.19
  • 最終更新日 2024.01.17

乳房再建手術経験者の声

「主治医に何でも聞いて話せる信頼関係が作れれば、手術はきっとうまくいきます」

石川県 MHさん(50代)
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手術方式 : 「一次ニ期再建」
(腫瘍切除時にエキスパンダーを挿入し、4カ月後にインプラントで再建)
・乳腺線維腫切除手術 : 2005年
・葉状腫瘍切除手術 : 2011年11月 左乳房皮下乳腺全摘。
同時にティッシュエキスパンダーを挿入
執刀・金沢大学付属病院 乳腺外科 井口雅史医師
・乳房再建手術 : 2012年3月 インプラントへの入れ替え
執刀・金沢医科大学病院 形成外科 島田賢一医師
術前治療 : なし術後治療 : なし

きわめてまれな乳腺の悪性腫瘍の可能性があるといわれて・・・

2005年に乳腺線維腫がみつかり、良性のものではありましたが局所切除手術を受けました。それ以来、日ごろの自己触診は欠かさないようにしてきましたが、2011年の4月ごろ、左胸に妙なしこりがあるのに気づき、その年の夏に受けた定期検診のマンモグラフィ検査でも「要精密検査」という結果でした。

今回も乳腺線維腫かもしれないし・・・という期待に似た思いもありましたが、日々大きくなる感じがあり、主治医からの紹介状を持って金沢大学病院を受診しました。同病院は、センチネルリンパ節生検を全国に先駆けて導入するなど、乳がん手術での実績もあり、集団検診で「要検査」といわれた人の精密検査にも積極対応しているので、私にとっては最も安心のできる選択でした。

針生検やMRI検査の結果、4.5cmほどの腫瘍があり、葉状腫瘍(※注)の可能性が高いといわれました。手術で組織を採取するまで最終判断できないとのことでしたが、葉状腫瘍は進行のスピードが早く、腫瘍だけを取っても再発の可能性は残るため、医師からは乳房全摘も提案されました。しかし良性の葉状腫瘍かもしれないのに・・・と思うと踏んぎりがつかず、ひとまず腫瘍だけをぎりぎりのところで切除する局所手術を受けました。

主治医からの丁寧な説明で、納得のもとに乳房を全摘

果たして、病理検査の結果は葉状腫瘍の境界悪性型であるとのこと。ある程度の覚悟はできていましたので、結果を聞いて改めて全摘手術への決心もつきました。主治医から、乳頭乳輪温存の皮下乳腺全摘手術となること。乳房再建も可能であることなど詳細な説明を受け、十分に納得したうえで手術に臨み、このとき同時にエキスパンダーを入れていただきました。

当時は同院に形成外科がなかったため、この分野に定評のある金沢医科大に紹介状を書いていただき、2カ月後に島田先生のもとを受診。その2カ月後にインプラントへの入れ替え手術を受けました。現在のようにインプラントによる再建が保険適用になる前のことでしたが、仕事を持っていた私には、自家組織よりもインプラントによる再建がやはり適していたと思っています。

エキスパンダーを入れているときは、皮膚が突っ張る痛みも多少はありましたが、それほど気になるものではありませんでした。インプラントが入っているという違和感も時間とともに薄れていきますし、線維腺腫切除の古い傷跡を除けば、再建していると気づかれることもないほどきれいに仕上げていただきました。

医師とよいコミュニケーションを図ることで、満足のいく再建を!

懸念があるとすれば、人工物での再建なので、加齢に伴って健側が下垂してきたとき、左右のバランスが崩れることです。しかし乳房再建の技術はどんどん進歩しており、将来的にはいまよりもっと色々な方法が出てくるに違いありません。自分でも新しい情報に接する努力をしながら、そのとき最良の選択ができればと考えています。

再建をするかしないかは、もちろん本人の自由です。ただ、再建をしていない乳がん経験者の知人たちが、薄着の季節に胸元の形に悩んだり、温泉旅行をためらったりしている様子に接するにつけ、手術の傷が患者さんの気持ちに与える影響の大きさを思わずにいられません。その意味では、信頼のできる医師のもとできれいに再建していただけた私はとても幸運だったと思っています。

再建手術のできる医療施設は地方都市にも増えつつあると思いますが、何よりも自分の意思をしっかり伝え、言いたいことや聞きたいことがきちんと伝えられる医師と、よいコミュニケーションを図って納得することができれば、きっと満足のいく手術を受けられることだと思います。

*インタビュー記事は個人の体験談に基づく感想で、E-BeCで推奨するものではありません。体験談は再建を考える際の参考にしていただき、主治医や医療者とよく相談をして決めるようにしてください。

(取材2015年10月)

※注【葉状腫瘍】  乳腺にできる悪性腫瘍のなかでも発症率が0.5%以下という比較的まれな疾患で、病理組織学上は良性、境界性、悪性に分類されます。短期間に大きくなるのが特徴で、リンパ節転移はありませんが再発しやすく、境界性や悪性の場合は乳房切除が必要となることが一般的です。

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。 治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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