乳房再建手術最前線リスト
乳房再建医の声

「乳腺外科医と形成外科医の連携を強めていくことを使命に」武石明精医師

武石明精(たけいし めいせい) (社)乳房再建研究所 理事長

術式 : 自家組織(穿通枝皮弁、広背筋皮弁)、インプラント
※穿通枝皮弁法では「乳房再建MT式計量システム」も実施
※インプラントはティッシュエキスパンダーからの入れ替えが主体
連携病院 : 2018年3月現在(50音順):ガーデンクリニック(東京・品川:カウンセリングと手術=インプラントのみ)、騎西クリニック(埼玉県加須市)、静岡県立がんセンター静岡県駿東郡)順天堂大学医学部附属順天堂院帝京大学医学部付属溝口病院(川崎市)東京医科大学病院浜の町病院(福岡市)、南大和病院(大和市)
標準手術時間 : 穿通枝皮弁 8時間、広背筋皮弁 5~6時間、インプラント 1時間
標準入院日数 : 穿通枝皮弁 8~10日間、広背筋皮弁 7~9日、インプラント 2泊3日程度
乳頭・乳輪形成 : 実施は再建手術の半年後が目安 ※主に皮弁法および健側の乳頭移植

 

乳がん手術後の患者さんが、よりよい人生を送るための「乳房再建」

20数年前、留学先のUCLAで師事した形成外科医のウィリアム・ショウ(William W. Shaw)博士の再建医療に対する真摯な姿勢に接し、強く共感したことが、私が乳房再建を志したきっかけです。「命さえ助かれば、患者さんがコンプレックスを抱えて生きていってもいいのか。命を救う医療があるのなら、その命で楽しく暮らすための医療があってもいいはず」。ショウ博士が示してくれたこの乳房再建への哲学は、いまも私のバックボーンとなっています。

いまでは、日本にも乳房再建を手がける優れた医師が増えました。しかし乳がんの罹患率は増加し、再建を希望する患者さんがみな経験のある形成外科医にかかれるとは限りません。なかでも私がメインとする穿通枝皮弁法は、腹部などから採取した皮弁(血流を保った皮膚や皮下組織)を胸に移植する方法で、美しい乳房の形をつくるには多くの症例経験が必要です。

そこで、皮弁移植の技術があり、乳房再建の症例経験の少ない医師たちが、整容性に優れた手術を少しでも容易に行える標準的な手法を提供しようと考案したのが、「乳房再建MT式計量システム」です。

症例経験の少ない医師のために開発した“自家組織製のインプラント”

これは、乳がん手術前に硬化剤を入れたシリコンで本人の乳房の型を取り(二次再建の場合は健側で型を取る)、そこに患者さんの自家組織を詰めて縫い合わせて作った、いわば“自家組織製のオーダーメイド・インプラント”を移植する方法です。

従来は、手術中に患者さんの上半身を何度も起こし、乳房の形や大きさを細かく調整せねばなりませんでしたが、この方法ならその必要がなく、非常に完成度の高い手術を行うことができます。手術時間も40~50分は短縮でき、患者さんの身体的負担はもちろん、長時間の手術に起因する合併症や感染症のリスク軽減にもつながります。(写真は一次再建の患者さん)

実用化にあたっては、人工乳房に実績のある池山メディカルジャパンの協力を得て型取りの技術を開発し、3年間の臨床研究を経て2012年10月に医療特許を取得(2013年には米国国際特許も取得)。この型からシリコン製の乳頭を作ることもできます。すでにいくつかの医療機関もこの方法を採用しています。

自分の手がけた患者さんをどこまでも見守れる医師であること

これからこの領域を担っていく若い形成外科医たちに確かな技術を伝え、乳房再建と向き合う姿勢を示していくことは、長くこの手術を手がけてきた自分の大きな使命でもあります。

とくに保険適用の開始を機に、インプラントによる再建をメインに学ぼうと考える医師が増えていますが、どんな手術にも必ず感染症や合併症のリスクはあります。もしインプラントを入れた数年後に何らかのトラブルが起きたとき、患者さんに「あきらめなさい」というのではなく、しっかりとやり直し手術ができるようでなければ、本当の意味で患者さんの面倒をみていくことにはなりません。

そのためにも、乳房再建携わる医師には乳癌のチーム医療を担う一員として乳腺外科のレジデントを終えた程度の乳がんの知識は身に着けておくよう求めるとともに、「インプラントをメイン術式にするのはかまわない。ただし、万一のときに自家組織での再手術ができる、もしくはそれを依頼できる医療施設との連携関係を作っておくことが大切なのだ」と常に説き続けています。

情報の地域格差を減らしていくことも大きな課題

最近では、乳房再建手術もかなり知られるようになりました。しかしインプラントの保険適用開始後の1年で、保険制度の下で行われたインプラントによる再建手術は全国でわずか400例ほど。1都道府県で月間1例にも満たない計算です。大都市の病院には患者さんが殺到するのに、地方都市では乳房再建を知らない医師もいるのが現実です。誰もが同じ条件で医療を受けられることが保険診療の目的であるはずなのに、現実はまったくそうではありません。

乳房再建に関する情報格差をなくし、がん治療と乳房再建の理想的な連携の流れを作りながら、高い技術をもった医師を各地に育てていくことは、これから自分が担っていくべき重要な役割だと考えています。
(取材:2014年10月)

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名称 ①ガーデンクリニック、②騎西クリニック、③静岡県立がんセンター、④順天堂大学医学部附属順天堂院、⑤帝京大学医学部付属溝口病院、⑥東京医科大学病院、⑦浜の町病院、⑧南大和病院
所在地 ①〒108-0074 東京都港区高輪424-58、②〒347-0102 埼玉県加須市日出安1313-1、③〒411-8777静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地、④〒113-8431 東京都文京区本郷3-1-3、⑤〒213-8507、⑤川崎市高津区二子5-1-1、⑥〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1、⑦〒810-8539 福岡県福岡市中央区長浜3-3-1、⑧〒242-0015 神奈川県大和市下和田1331番2号
診察時間 ①偶数週の土曜日、②水曜日と奇数週の土曜日、③第3木曜の翌日の金曜日(金曜日から始まる月は第4金曜日)、④最終土曜日の午前中(要予約。外来窓口:形成外科 饗場医師)、⑤不定期(外来窓口:形成外科 五来医師)、⑥不定期(外来窓口:形成外科 小宮医師)、⑦不定期(外来窓口:外科)、⑧第4木曜日 ※武石先生の外来診察日については、各病院に最新の状況をお問い合わせください。
休診日 ※各病院の休診日は、武石医師プロフィールの「連携病院」欄のリンク先からお調べください
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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2018.03.06.

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