役立ち情報

2.手術後の傷をきれいに治すために・・・

サージカルテープで傷を保護する理由を知っておきましょう

傷の治り方 : 3カ月ほどで完全にくっつき、次第に目立たなくなります

手術による傷は、ケガややけどなどと同じく、一定の段階を経て治癒へと向かいます。
最初の数日間は、傷が赤く腫れて痛んだり熱をもったりする「炎症反応」が起きます。これは、細菌などの感染から傷口を防御するための反応です。この間、傷の周辺には新たな血管が集まり、傷を修復する素材となる線維芽細胞が増殖して肉芽(にくげ)組織というものを形成し、部位によって数日ないし数週間をかけて傷は次第にふさがっていきます。

傷口がきれいにくっつくことを癒合(ゆごう)といいます。傷が癒合すると肉芽組織は縮小し、かわりにコラーゲンなどから生成された白っぽい組織が残ります。これを「瘢痕(はんこん)」といいます。瘢痕は、通常数カ月から1年ほどの間に成熟し、次第に目立たなくなっていきます。

手術による傷(切開創)が癒合までに要する時間は、欠損した皮膚の大きさや深さ、傷の部位などによっても異なり、個人の体質も影響するため、一概に何カ月ということはできませんが、たいていは1カ月から長くても3カ月ほどで元に戻ります。

手術による傷の縫合 : 真皮部分を縫い表皮に痕を残さない方法が主流

皮膚は“表皮”と“真皮”からできていて、皮膚組織の大部分は真皮層が占めています。切開創を縫合する際は、真皮部分だけをその下の脂肪層にかかるまでしっかり縫合しておき、表皮部分の傷口はぴったり合わせるだけの方法が現在の主流です。表皮を縫わないため傷口周辺に縫い目が残らず、切開したところが白く細い瘢痕になるだけで、見た目にもたいへんきれいに傷を治すことができます。

ちなみに、傷の治りやすさには人種差があり、白人に比べてアジア系・アフリカ系の人は真皮が厚く、傷の治りが相対的に遅いといわれます。ただし同じ人種間であれば、肌の色と真皮の厚さに関係性はなく、「私は地黒だから治りが遅い」というようなことはありません。

医療用テープ : 一定期間、傷口に対して直角に細かく貼るのが原則

表皮を縫わない場合は、傷口が開かないように、医療用のテープを一定期間貼って癒合を待ちます。テープで押さえることで傷口が常にぴったりくっついた状態を保ち、傷が開いたり盛り上がったりすることを防ぐことができます。

テープを貼る期間は、傷の大きさや部位にもよりますが、自家組織を使った乳房再建で腹部の皮膚・脂肪を切除した場合は、切除幅が大きいため、3カ月間は腹部の手術創にテープを貼ることが理想的とされます。

その場合は、傷に沿って並行に貼るのではなく、3~4cm幅ほどに切ったものを傷に対して直角に細かくていねいに貼るほうが、傷が開こうとする力を分散しやすくなります。

テープの貼り方

セルフケア : 瘢痕や放射線治療部位の乾燥が気になるときは…

切開傷は時間がたてば赤みも収まり、やがて白っぽい瘢痕となり次第に目立たなくなっていきます。ただし瘢痕は皮膚ではないため、汗腺や皮脂線をもっていません。また放射線治療を受けている場合は、熱傷で汗腺や皮脂線の機能が損なわれていることが多く、こうした組織は正常な皮膚に比べ乾燥しやすくなります。

もし瘢痕部分や放射線を当てた部分の乾燥が気になるようなら、主治医に相談すれば保湿効果の高いクリームを処方してもらえるでしょう。日常的には、市販のオイルや保湿クリームなどでセルフケアを行うこともお勧めです。

傷は焦らず治しましょう。気になるときは形成外科の主治医に相談を


横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
KO CLINIC 院長   黄 聖琥(こう せいこ) 

手術による切開創は、切った部分の皮膚を両側から糸で引き寄せて縫合するため、そこには元に戻そうとする物理的な力が働きます。とりわけ自家組織を使った乳房再建、特に腹部の脂肪組織や皮膚を移植する場合は、広いところで10~13cm幅ほども皮膚と脂肪組織を切除するため、この部分の皮膚を上下方向から引き寄せて縫合すると、縫合部にはかなり強いテンションがかかります。

切開創がきれいに癒合するまで、通常3カ月程度を要しますから、医療用テープで傷を保護する期間も“3カ月”がひとつの目安になります。皮膚の大きな切除を伴わない場合は、1カ月程度ですむ場合もあります。

ただ、体質によってテープかぶれが起きることがあります。放置すると傷口がきれいに治らないこともあるので、そのときはすぐ主治医の指導を仰ぐようにしてください。傷の痛みや痒みがなかなか引かない、傷が盛り上がってくる、といった状態がみられたときも同様です。万一、体質などの関係であまりに治りが悪い場合は、医師の判断でステロイドなどを適切に用いた治療を行う場合もあります(保険適用内)。

手術創に限らず、どのような傷も時間を経るほどに柔らかくきれいに治っていくものです。体質による個人差はありますが、傷周辺の赤みも3カ月から半年くらいの間にピークを越え、やがてきれいに引いていきますから決して焦る必要はありません。まだあまり一般的ではありませんが、最近はレーザー治療の併用で赤みの出る時期を短縮する技術も開発されており、ほかにも色々な対応方法がありますから、気になることがあれば形成外科の主治医に相談してみましょう。

→役立ち情報一覧に戻る

このサイトのコンテンツについて

このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

E-BeCサブメニュー

  • 乳房再建手術をわかりやすく解説『乳房再建Hand Book』
  • 各地へじかに情報をお届けします 乳房再建全国キャラバン
  • 乳がんに際して知っておきたい役立ち情報
  • 乳房再建に関するアンケート調査報告書
  • アラーキーが撮影写真集『いのちの乳房』
  • E−BeCスタッフブログ

Facebookページ

Share

SHARE日本語部門公式サイト

SimplyPure

SimplyPure | 乳がん経験者のフォトサービス

写真絵本てくてくま

写真絵本てくてくま