乳房再建手術最前線リスト
乳房再建手術経験者の声

「一番の楽しみだった家族との温泉旅行に再び行けるようになりました」

北海道 TMさん(37歳)
TMさん

手術方式 : 「ニ次二期再建」(乳がん手術の2年後にエキスパンダーとインプラントで再建)
・乳がん手術 :
 2011年10月 左乳房全摘出
  執刀・麻生乳腺甲状腺クリニック 南 盛一医師(現在は札幌東徳州会病院乳腺外科)
・乳房再建手術 : 
 2013年10月 エキスパンダー挿入
 2014年6月 インプラントに入れ替え
 2014年10月 乳頭・乳輪の再建
  執刀・札幌道都病院形成外科 江副京理医師
術前治療 : なし
術後治療 : 抗がん剤(エンドキサン、タキソテールによるTC療法4クール)
        ホルモン剤(TC療法後にリュープリン2年、タモキシフェン2年半)

左側の胸を失って、体のバランスの悪さに悩まされた毎日

2011年の夏ごろ、左胸から脇にかけて筋肉痛のようなにぶい痛みがあるのを感じました。痛みはひどくなる一方で、固い部分もあるのですぐに病院へ。前年に結婚をして、ウェディングドレスを着たときにそのあたりが何となく固いのに気づいてはいたのですが、気にとめずにいるうちに進行していたのでしょう。すぐに左乳房を全摘することになりました。

主治医からは、術後2年たてば乳房を再建してもいいと言われていました。特に再建を急ぐ気持ちはなかったのですが、いざ左胸のない身体で生活してみると体の左右バランスがとても悪く、歩いても地に足が着いていない感じで、ちょっとしたことでもすぐ転びやすいのです。右側に重心が集まるせいか、頭痛や肩こりにも悩まされました。

もっと辛かったのは、以前はスポーツクラブ通いや家族との温泉旅行が一番の楽しみだったのに、着替えにも人目をはばかり、家族と離れてひとり隅の方で入浴したりしているうちに、誘いの声がかからなくなってしまったことです。自分のせいでみんなの楽しみを奪ってしまったようで申し訳なく、再建への思いが日々強まっていきました。

インプラントの保険適用開始とともに再建に踏み切りました

あれこれ調べるうちに、体格がよく胸が大きい私には、下腹部の自家組織を使う再建が適していることもわかりました。でも、いずれは子どもを産みたいからと、主治医と相談してホルモン療法も途中でやめたほどなので、私としては下腹部を傷つけないインプラントでの再建が理想。ただインプラントの保険適用開始前のことだったので、手術費用を思うとなかなか前に進めずにいました。

そんなある日、朝食の支度をしながら流れてきた「インプラントに保険適用・・・」というラジオニュースに思わず耳が釘付けに! 主治医から「再建しても大丈夫」といわれていた2年が過ぎようとしていたタイミングです。もう嬉しくて嬉しくて、夢を見ているんじゃないかと思うほどでした。

執刀は、札幌道都病院の江副京理先生にお願いしました。最初に訪ねた別の病院では、女性の担当医師に「うちでは人工物は扱わない」と突っぱねられ、「両方揃った胸で赤ちゃんを抱きたいから」と訴えても、「片方の胸だけで立派に子どもを育てている人もいますよ」と、私の思いを理解しようともしてくれません。担当医の上司にあたる医師から、エキスパンダーを入れた状態で妊娠・出産し、その後に自家組織で再建するという折衷案が示されたのですが、もうその病院で手術する気にはなれず、所属する地元患者会のメンバーが勧めてくれた江副先生のもとをお訪ねしたのでした。

「胸が大きいので、インプラントでは完全な左右対象にはならないけれど、膨らみは取り戻せますよ」という先生の言葉がどれほど嬉しかったことでしょう・・・。

エキスパンダーで少しずつ膨らんでくる胸をみると痛みも苦にはならず

胸の大きさに合わせて、エキスパンダーに入れる水の量は最終的に1リットルにもなりました。水を足していく間は、背中や頭にじわじわと痛みが走ることもあり、寝るときは横向きになって胸の下にクッションを入れないと、水の重みで息が苦しいほどでした。でも、少しずつ膨らんでくる左胸を見ていると、なんだか思春期のころのちょっと嬉しい胸の痛みを思い出すようで、ちっとも苦にはなりませんでした。(写真は使用していたものと同サイズのティッシュエキスパンダー)

8カ月後にインプラントに入れ替えたときは、3年ぶりにようやく普通の足取りで歩けるようになったのを実感。体のバランスが整っていることの大切さを身をもって知りました。4カ月後には、乳頭(皮膚の立ち上げ)と乳輪(右胸乳輪からの移植)も再建し、人より大きめだった乳輪のサイズも普通程度にしていただくことができました。

ついに待望の子どもにも恵まれました!

その後、無事に妊娠して女の子を出産。ようなく母親になることができました。全摘した当初は、片方の胸がない状態で赤ちゃんと向き合う勇気がわかず、子どもを持つことを半ばあきらめていたのですが、再建したことが自分を前向きにしてくれたのだと思います。

授乳中は乳房の血行が盛んになり、熱く火照ったようになるので、インプラントを入れた胸との体温差を感じるのですが、当の娘はひとつも気にすることなくおっぱいを飲んでくれています。再建をしていなかったら、こんな喜びを味わうことはできなかったかもしれません。まだ決めてはいませんが、やがて子育てが一段落して、もし健側の下垂で再建側とのアンバランスが目立ってくるようだったら、改めて自家組織での再建を考えてもいいかなと思っています。

もし再建したい気持ちがあり、かつ手術を受けられる環境にあるのなら、手術は受けたほうがいいと思います。正しい情報を集め、手術に対する考え方が自分と一致する先生と巡りあうことができたら、きっと後悔のない手術を受けることができるはず。一経験者として、これから手術を受ける方たちのためにできるだけの情報発信をしていくつもりです。
(取材2015年1月、追加取材2018年6月)

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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

最終更新日:2018.07.08.

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