乳房再建手術最前線リスト
乳房再建医の声

患者さんの気持ちに寄り添い、乳房とともに“心”の再建も目指します

森 弘樹(もり ひろき)
東京医科歯科大学附属病院 形成・美容外科 診療科長

術式:
・自家組織(穿通枝皮弁。ドナーは腹部、臀部、太もも)※臀部、太ももからの症例はまれ、または拡大広背筋皮弁
・インプラント
標準手術時間:
・自家組織 穿通枝皮弁 7~8時間、拡大広背筋皮弁 4~5時間
・エキスパンダー挿入 1.5時間、インプラント入れ替え 1.5時間
標準入院日数:
・自家組織 穿通枝皮弁の場合 10日前後、広背筋皮弁の場合 7~10日
・エキスパンダー挿入 7~10日、インプラント入れ替え 5日前後
乳頭・乳輪再建の時期:
・自家組織 再建手術の半年後~
・インプラント 再建手術の3か月~
術式は皮弁の立ち上げとタトゥー、患者さんの要望によっては健側からの移植にも対応
連携病院:
土浦協同病院:外来・手術(隔週月曜日)、横浜市立みなと赤十字病院:手術(隔週水曜日)、湘南藤沢徳洲会病院:外来・小手術(隔週土曜日)

 

乳房再建で一番大切なのは、患者さんの気持ち

私が東京医科歯科大学に着任したのは1999年で、ちょうど形成外科が独立診療科としてスタートし、乳房再建に本格的に取り組むことになったタイミングでした。当時の日本では、乳房再建について今ほど知られていなかったので、比較的早くから取り組んでいたと言えると思います。

乳房再建は、医師にとって“こだわり”を持って取り組むべき診療領域です。しかし、決してこちらの考えを押し付けないように心がけています。整容性やQOL(生活の質)という、答えがひとつではないゴールを目指し、患者さん一人ひとりの考えに寄り添って最善を尽くすことが求められます。近年はインターネット等を通じて乳房再建の情報を得やすくなり、患者さんの中にも詳しく知っている人が増えているように感じます。一方で、乳房再建について全く知らない患者さんもいますので、医師として、それぞれの患者さんに必要と思われる情報は、惜しみなく提供するようにしています。

乳房再建、それは心の再建

乳房再建の方針を決めるにあたっては、患者さんにはできるだけ“具体的なイメージ”をお聞きしています。イメージとは、例えば人工物のインプラントか、自家組織か。自家組織をドナーとするにあたり、乳房以外に傷を負うことについてどう思うか。左右対称にこだわるかどうか。生活の中で大切にしていることは何か、など・・・。もし、どのように考えたらいいかが分からない場合でも、「こんなことを聞いていいのかな」などと思わず、どんな些細なことでも質問を投げかけてください。

乳房を再建する目的は、身体機能を向上させることではなく、患者さんのQOLを向上させることに尽きます。患者さんそれぞれに、再建後の人生の物語があります。

乳房全摘後、20年が経過してから再建したある患者さんからは「こんなに綺麗に再建できるなんて本当に嬉しい!」と喜んでもらえました。他の患者さんからも「趣味のダンスのドレスを着られるようになりました」とか「がんの治療はつらかったけれど、再建した乳房があったので頑張れました」などと報告されると、乳房再建は単に身体の一部を補う手術ではなく、“心の再建”なんだという思いを強くしますね。

これからの課題は、乳房再建をより普及させていくこと

東京医科歯科大では、乳腺外科と形成外科は隣り合わせの診療科で、声かけひとつで連携できるという、乳房再建に携わる医師や患者さんにとって恵まれた環境にあります。一方、日本全体でみると、双方の診療科の連携はまだ道半ばと言えます。米国では乳がんに罹患した患者さん(※1)のうち30%程度が乳房再建すると言われていますが、日本では9% (※2)です。 日本人特有の気質として、性的なことをあまり口にしたがらない人が多く、乳房を再建したいという希望を表に出しにくいと考える人も多いのかもしれないと推察しています。しかし、日本は医療先進国でもあります。まずは欧米並みに、乳房再建を選択肢のひとつとして広めていくためには、乳がん治療の入口である乳腺外科での診療時に“選択肢”として患者さんに提供することも重要ですし、社会全体で、乳房再建に対する情報を広め、理解を深めることも重要でしょう。

(※1)乳房の全摘手術と温存手術を受けた人の合計
(※2)全摘手術を受けた患者さんのみを対象とすると17%

(2020年10月 オンライン取材)

 

名称 東京医科歯科大学医学部付属病院
所在地 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
診察時間 第2・4月曜日、第1・3・5火曜日(午前/午後)要予約
休診日 土曜日・ 日曜日・祝祭日・年末年始(12月29日~1月3日)
TEL 03-3813-6111(代)
URL http://www.tmd.ac.jp/med/plas/
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このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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