乳がんと乳房再建、そしてタトゥーに込めた想い
*2024年10月発行 写真集『New Born -乳房再建の女神たち-』(撮影:蜷川実花、企画:NPO法人E-BeC、発行:赤々舎)に収録しているモデルの経験談「わたしのストーリー」より
兵庫県 OMさん(53歳)
手術方式:一次一期再建(自家組織)
・乳がん手術
2015年1月 右乳房全切除術
執刀:神戸市立医療センター中央市民病院 乳腺外科 加藤大典先生
・乳房再建手術
2015年1月 腹部穿通枝皮弁(右)
執刀:冨士森形成外科 副院長 冨士森英之先生(当時)
手術をした施設は神戸市立医療センター中央市民病院
・乳頭再建
2017年3月 乳頭再建(右)
執刀:冨士森形成外科 副院長 冨士森英之先生(当時)
・術前治療:AC+ハーセプチン 咳がひどいため パクリタキセル+ハーセプチンに変更
・術後治療:ハーセプチン1年
医師の、「浸潤性の乳がんで乳房は全摘出」という診断に、「全摘するのなら、同時自家組織再建しかしません」と私の思いを伝えました。母も乳がんを経験していたので、右乳首の右下に小豆大のしこりが触れたときから、そう考えていました。
乳房再建は、乳がんかな? と思ってネット検索をした時に知りました。まだ42歳で結婚をあきらめていないから、お乳はほしい。乳房がないことで温泉に入るのをためらう母の姿に、「楽しいことも、楽しくなくなるんやな」と感じていたことも大きかったです。
その病院では乳房再建を行っておらず、私が希望する、“乳がん手術と同時にお腹の自家組織で再建ができる”病院を紹介していただきました。それからは再建のことばかり考えて過ごしました。
自家組織にこだわったのは、からだの一部と感じられる温かい「お乳」がほしかったから。お腹にキズができることや手術の痛みは二の次でした。
術前抗がん剤ではアレルギーや手足のしびれに苦労しましたが、脱毛は坊主頭になる機会と思って楽しみました。すべてはその先の乳房再建への過程に思えたんです。
12時間もかかった再建手術は先生が頑張ってくださり、自慢の乳房をつくっていただきました。
その後、軟骨を使った乳頭再建をするころには、「再建乳房にアートタトゥーを入れる」という次の目標ができていました。
主宰している乳がんのSNSグループのメンバーが、アメリカの、胸にタトゥーを施した乳がん患者さんのサイトを教えてくれたのです。建築やデザインの仕事をしていてアートが身近だった私は、「こんなことができるんや」とその発想に興味を持ちました。見た人が「なぜここに?」と関心をもってくれたら、きっと乳がんや乳房再建を知るきっかけやメッセージになる、と思ったんです。
さっそく「私もこれやりたい」と投稿したところ、驚いたことに「やりましょうか」と、グループにいた彫師の女性が名乗りをあげてくれたんです。話はトントンと進み、再建から2年後に1回目のタトゥーを入れました。頑張ってくれた乳房と、犠牲になってくれたお腹と、医師へのお礼を込め、新しい乳房とおへそを、モノクロの花模様でつなげるデザインを考えて。
完成したときは本当に嬉しかった! ただ現実には銭湯や温泉はタトゥー禁止。関西は海水浴場も禁止のところも多く、見てもらえる場が見つかりません。そんななか、彫師の彼女が亡くなってしまったのです。
タトゥーを通してメッセージを伝えたかったと悲しさに包まれているときに、写真集のことを知りました。彼女がこの場につないでくれたとしか思えません。私と彼女のメッセージが多くの人に伝わることを願っています。
2024年5月 インタビュー:山崎多賀子
*インタビュー記事は個人の体験談に基づく感想で、E-BeCで推奨するものではありません。体験談は再建を考える際の参考にしていただき、主治医や医療者とよく相談をして決めるようにしてください。
写真集『New Born -乳房再建の女神たち-』のメイキング動画はこちらから
https://www.e-bec.com/ninagawa-mika-model
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